肩の痛みについて
「腕を上げると肩が痛い」「肩が痛くて服を着るのがつらい」「夜中にうずいて眠れない」「肩が動かしにくい」など、肩の痛みは日常生活に大きく影響します。
当院では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた診療・治療を行い、生活指導や運動療法も積極的に取り入れています。
主な疾患名と特徴
五十肩(肩関節周囲炎)
中高年に多く、肩関節周囲の炎症で痛みと動きの制限が起こります。肩が上がらない、後ろに回せない、夜間痛があるなどが特徴です。
腱板断裂(腱板損傷)
肩の筋肉・腱が傷つき、痛みや力が入らない症状が出ます。加齢や外傷が原因で、手術が必要なこともあります。
変形性肩関節症
肩関節の軟骨がすり減り、関節が変形してくる疾患です。中高年に多く、肩の動きが悪くなり、痛みが慢性化します。進行すると関節がこわばって日常動作が困難になります。
石灰沈着性腱板炎
肩の腱板に石灰(カルシウム)がたまり、急激な炎症と強い痛みを起こします。突然痛みが出て肩が動かせなくなることがあります。
肩インピンジメント症候群
肩の関節を構成する骨が衝突したり、骨の間に筋肉が挟まれたりすることで痛みや炎症が生じる状態です。腕を上げる際に痛みを感じることが特徴です。
頸肩腕症候群
首・肩・腕の筋肉が過度に緊張し、肩こり・だるさ・しびれ・頭痛などを引き起こします。
関節リウマチ
自己免疫疾患による慢性的な関節炎で、肩に強い痛みや腫れ、変形を引き起こすことがあります。
頚椎由来の放散痛
首の神経が圧迫され、肩や腕に痛みやしびれが出ることがあります。
治療方法
患者さんの症状・原因・生活スタイルに応じて、以下の治療を組み合わせて行います。
薬物療法
消炎鎮痛剤、湿布、外用薬などで炎症や痛みをコントロールします。
関節注射
ヒアルロン酸注射は関節の動きを滑らかにし、痛みを軽減する効果があります。
局所麻酔薬やステロイドの注射は痛みや炎症を抑える効果があります。
物理療法(電気治療、温熱療法など)
筋肉の緊張を和らげ、血流を改善し、痛みの緩和を図ります。
日常生活指導
姿勢や動作のクセを見直し、痛みを悪化させない生活習慣をサポートします。
手術
重度の場合は、専門医と連携し手術を検討します。
リハビリテーション治療
肩の痛みの改善と再発予防には、リハビリテーションが非常に重要です。当院では以下のようなプログラムを提供しています。
筋力トレーニング
肩甲骨周囲・体幹・首まわりの肩を支える筋肉を鍛えることで、肩への負担を軽減し、動きやすく痛みにくい状態をつくります。
関節可動域訓練
硬くなった関節や筋肉を柔らかく改善し、日常動作をスムーズにします。
日常動作指導
肩に負担をかけにくい動き方、痛みが出にくい動き方、正しい姿勢の習得をサポートします。
ストレッチや体操の指導
肩周囲の筋肉を鍛え、柔軟性を改善する自主運動の体操を指導します。
理学療法士による個別指導
国家資格を持つ専門スタッフが、症状や体の状態に応じたオーダーメイドの運動療法を行います。
ヨガによる肩の痛み改善・予防
近年、ヨガが肩の痛みに対して有効であることが注目されています。
ヨガの特徴は以下の点にあります。
柔軟性の向上
肩・肩甲骨周囲の筋肉や関節の柔軟性が増すことで、肩の可動域が広がり、スムーズな動作がしやすくなります。
インナーマッスルの強化
肩を安定させるインナーマッスルを強化し、肩を支える周囲の筋肉や体幹の筋肉を鍛えることで、肩の動きを安定させ、負担を軽減します。
呼吸とリラックス
深い呼吸と心身のリラックスが、慢性的な痛みの軽減につながります。
正しい姿勢の意識づけ
正しい姿勢を習慣づけることで、肩にかかる負担が減ります。
当院では、安全に行える医療的観点から見た肩の痛み改善・予防のためのヨガをリハビリテーションに取り入れています。興味のある方はお気軽にご相談ください。